今年もすばらしい先生方をお招きしました。皆様にとって体験しながら学べる場となれば幸いです。積極的にご活用ください。事例検討をご希望の方は事務局までご連絡くださるか,申込書にお書きください。
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2009年5月10日(日) 13:00~18:00
心理臨床のコアについて
山中康裕(京都大学名誉教授、京都ヘルメス研究所長)
私は京大学術出版界の「心理臨床学のコア」の上梓以来、医学・看護学と比較して、心理臨床の究極の目標を標語化して、次のように述べた。すなわち、医学はキュア(Cure)つまり治癒を、それに対し、看護はケア(Care)つまり看とりを、心理臨床はコア(Core)つまり「たましい」ともいうべき心の核心に関わるもの、と規定したのである。今回、これを核にして心理臨床家のするべきこと、してはならぬことについて明確に論ずるつもりである。
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(2)
2009年5月17日(日) 13:00~18:00
心理療法における「対立と葛藤」をどう生きぬくか
桑原知子(京都大学教育学研究科)
心理療法においては、矛盾・対立する二つの事柄(受容と対決、外と内など)がせめぎあい、そのなかで葛藤させられることが多い。これは、セラピーの過程 のなかで生じることもあるし、学校現場などにおける「他者との関係性」のなかで体験させられることも多い。また、心理療法は、「話す」と「聞く」や、 「切る」と「つなぐ」など、矛盾した二つの方向性を有する。こうした葛藤や矛盾にどう向かい合い、またそれをどう生かしていけるのだろうか。本セミナー では、事例を中心に、「心理療法における『対立と葛藤』をどう生きぬくか」ということについて、考えてみたい。
*事例提供を募ります。体験のなかで、「対立」や「葛藤」を感じられたことをお話ください。どんな場所でも、どんな形でなされた事例でもかまいません。 一回分でも結構です。

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(3)
2009年5月24日(日) 13:00~19:00
世阿弥の複式夢幻能とユングの夢分析
川戸圓(大阪府立大学人間社会学部)
世阿弥によって考案された複式夢幻能は、ワキの夢が舞台でシテによって演じられるというものである。しかもシテは死者である。このような演劇が中世の日本において生み出されたのは驚異である。西洋で夢分析が始まる数百年前に、すでに夢のイメージを味わうことによって、ある種の鎮魂の作用がもたらされることを、世阿弥が知っていたためではなかろうか。セミナーでは複式夢幻能の代表作である<井筒>を観て、能における夢の意味を探求することで、夢の理解を深めたい。さらには世阿弥がこのような能を生み出すことになった文化的背景にも考察をめぐらし、日本精神の古層に触れられたらと考えている。
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(4)
2009年6月7日(日) 13:00~18:00
からだ体験モードで学ぶカウンセリング
藤原勝紀(京都大学)
カウンセリングは,人間関係をつうじて行なう専門的な心理臨床援助法である。そこには,「心を使って心をみつめる」という実践的な面接関係の基本がある。したがって,カウンセリングや心理療法の基本的方法である面接関係においては,つねに「心のこととして」という意味を,実際の関係性に落として考えることが必須になる。つねに初心にかえって人間に関わることの基本原理や概念を見つめ直すことを繰り返すことといってよい。 本セッションでは,単純な「からだ体験」をつうじて,それを「心の関係モデル」として,その意味を読取り合いながらカウンセリングの基本原理を実践体験的に学びたい。相互的な実習体験によって,面接関係における関わりの在り方やその心理的意味,関係が形成されていく過程とその基本原理,そこでの心理体験の援助的意味などについて,心のこととして相互に学ぶ機会としたい。そこから,改めて受容・共感等のキーワードの意味,あるいは人間関係が援助的な意義をもつ在処,そうした専門的な関係性の在り方と基本的態度について相互に考える。心を使って,からだ体験を心の専門用語につなぎたい。
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(5)
2009年6月14日(日) 13:00~18:00
グループ・アプローチ入門
-その理論と実践を学ぶ-
高良 聖(明治大学文学部心理社会学科)
グループ・アプローチとしての集団心理療法は個人心理療法と相互補完的に発展してきました。病棟ミーティングや言語的な話し合いグループ、さらには、芸術表現療法、デイケア、社会技能訓練(SST)あるいは作業療法でさえも集団で行われる場合、それらを広義の集団心理療法として捉えることができます。また、教育現場においてもクラスという集団をどのように見立てるかについての知識が求められます。 本ワークショップでは、グループをどのように扱っていくかという進行上の問題について、実際のグループ体験を通して学びます。はじめに、グループに関わる理論的枠組みを提示して、その後、初期不安、here and nowの取り扱い、そして、終わり方について実践的に学習する予定です。また、グループセラピストの知っておくべきテクニックについて、受講生と共に検討しましょう。オープンマインド持参で参加してください。
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(6)
2009年6月28日(日) 13:00~18:00
心理療法をどう学ぶか
成田善弘(桜クリニック)
心理臨床をどう学ぶかについて、1)心理療法家を志す動機について、2)師に遇うことについて、3)文献から学ぶ、4)ケースカンファレンスから学ぶ、5)スーパーヴィジョンから学ぶ、6)教育分析から学ぶ、7)論文を書く、といったことについて、私自身の経験を踏まえて述べてみたい。もちろん心理療法の学び方にある画一的なものがあるわけではない。心理療法そのものが1回限り生をもつ出会いであり、一般化しつくせぬものであるから、その学び方も一人ひとり独自のものになるであろう。一人ひとりが自身の学びを考える上で私の話が出発点になれば幸いである。私の話のあと、参加者の方々に自身の経験や、直面している困難について語っていただき、ともに考えていきたい。
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(7)
2009年7月5日(日) 10:00~17:00
治療モデルについて
足立正道(国際基督教大学)
クライエントあるいは友人や親族から、「カウンセリングってどんなことをするのですか?」という質問を受けたことのない心理臨床家は少ないだろう。我々は、その都度どのようなレベルで返答するのか判断せねばならない。確実にいえるのは、そこで我々の治療モデル・治療観が問われており、もしも真正面から答えようとすると、一冊の本を著しても表しきれないくらいの内実を(直接語らないにしても)ふまえて回答・体現することが要求されるほどの事柄であるということである。カウンセリングと心理療法は違うのか?違うとすればどのように異なるのか?セラピーとトリートメントの違いもよく話題になるが、何が問題になっているのか?なぜ心理療法について複数の学派が並立しているのか?などの問いについて考察し、ユングの考えを紹介しつつ回答を探りたい。講義の後、事例検討を行う予定である。事例発表希望についての問い合わせは事務局にお尋ねください。

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(8)
2009年7月12日(日) 13:00~18:00
double Mutual Scribble Story Making
岸本寛史(京都大学医学部附属病院)
d-MSSM(double Mutual Scribble Story Making)は山中康裕(1984)によるMSSMを岸本がさらに展開させたもので、2枚の画用紙を同時に使い、それぞれが同時にぐるぐる描きを行い、同時に交換して、同時に投影を行う、ということを繰り返し、最後にやはり双方が物語を作るという方法である。MSSM以上に双方の非言語的なやり取りがなされること、セラピストも物語を作り、それに託してクライエントにメッセージを伝えることができるという点がユニークであり、また、双方が対等な立場で取り組めるすくするだけではなく、優れて治療的である。本講座については、d-MSSMの背景、実践に当たっての留意点、アセスメント的側面、治療的側面などについて述べた後、実際に参加者にも体験をしていただく。その後、筆者の事例を提示して、この方法を臨床に用いる際のイメージを掴んでいただくことを目的とする。
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(9)
2009年7月18日(土) 10:00~17:00 2009年7月19日(日) 10:00~17:00
組織における風土づくりのためのワークショップ
―職場における相互理解・相互コミュニケーション・こころと身体の健康をめざして―
平山陽示(東京医科大学)
秋田英光(野村證券株式会社)
浅野弘嗣(鳴門教育大学名誉教授)
安島智子(このはな児童学研究所)
社会において、コミュニケーションの重要性が唱え続けられる昨今、実際には、どのようなコミュニケーションを社会や人は求めているのでしょうか。私たちは、家庭、学校、職場、地域という様々な場で、互いに関わり合い、影響を受け合いながら生きています。互いに関わり合い、影響を受け合う時、人は他者とコミュニケートすると同時に自分自身とコミュニケートしています。このように自分自身とコミュニケーションを持ちながら、他者とコミュニケーションが持たれるところに、確かな相互理解というものは生まれ、その場に豊かな風土が創られていくのではないでしょうか。現代に生きる私たちは、集団の中にいて自分自身とコミュニケートし続けること、つまり個であり続けることの難しさを抱えているのかもしれません。今回のワークショップでは、他者と共にいて個が個として生かされ、個と個の相互理解が生まれる場について探求していきます。 コミュニケーションの質、集団、特に職場の風土づくりを狙いとして、企業人、産業医、教育学、臨床心理学の各体場からお話をしていただき、指定討論者とフロアの皆さんを交えてディスカッションを計画しています。 午前 <理論と体験実習> 「個と集団の相即的発展」サイコドラマによる体験実習 -個人が生かされ,個人と集団が共に発展してゆくあり方の探求- 講師:安島智子(国際医療福祉大学大学院) 午後 <シンポジウム> ―職場における相互理解・相互コミュニケーション・こころと身体の健康をめざして― シンポジスト 企業の立場から 秋田英光(野村證券株式会社) 産業医の立場から 平山陽示(東京医科大学) 臨床心理士の立場から 安島智子(国際医療福祉大学大学院) 教育学の立場から 浅野弘嗣(鳴門教育大学名誉教授) 司会 安島智子(国際医療福祉大学大学院)
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(10)
2009年7月19日(日) 10:00~17:00
葛藤解決とミソドラマ(神話劇)
自己内コミュニケーションとグループ内対人コミュニケーション ダイナミックは創造活動へ
安島智子(このはな児童学研究所)
午前10時~12時 午後 1時~5時 午前には、参加者一人一人に小さな物語を選んで持ってきていただき、それを読み語ることをしていただきます。物語りを語る体験、聞く体験を通して参加者の中に豊かに物語の世界が膨らむことと思います。午後は、葛藤解決のためのミソドラマを体験していただきます。自らの課題を意識化し、物語りの登場者との、又自らの元型との出会いのチャンスとなるかもしれません。未だ知らざる自分との出会いから、各自の物語制作をしていただき、さらにその物語をグループの物語へとドラマに載せて、それぞれの体験を一層深め、葛藤が解決されていくやいなや。どうぞお楽しみに。
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(11)
2009年7月25日(土) 10:00~16:00
箱庭療法と描画(風景構成法を用いて)
安島智子(このはな児童学研究所)
午前10時から12時 風景構成法 午後 1時から 4時 箱庭制作 集団の関係の中で守られながら、自分を見つめ、自分を発見し、それを他者と共有する静かな1日を計画しています。風景構成法は、中井久夫によって考案されたテストで統合失調症の患者さんに箱庭療法を使う際、適用できるかどうかを確かめるために考え出されたと聞いています。実際描いてみるとのテストとしだけではない手法であることがお分かりいただけることと思います。「継続自己実現ワークグループ」においても、大変意味深いプロセスを歩むことができることを確かめてきました。この体験はプロセスが大事ですが、一度の体験でも、自分と関わる貴重な時間となることでしょう。 (黒のサインペンとクレヨンをご持参ください。)
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(12)
2009年7月26日(日) 13:00~18:00
箱庭に表現される「会社」「学校」
生島博之(愛知教育大学)
現在の日本においては、うつ病などによる休職者が増えており、自殺者の数も増加しています。一方、不登校児童・生徒は、平成19年度で約13万人となっています。そこで、「会社」や「学校」に焦点をあて、現代の大人や子どもにとって、「会社」や「学校」がどのようなイメージとしてとらえられているのか、等について箱庭の表現から検討し、私たちが取り組むべき課題を一緒にみつけていきたいと思います。また、非行におちいっている児童や生徒が「学校」や「社会」をどのようにとらえているかについても、あわせて検討していきたいと思います。 事例を通して理解するのが何よりとおもいますので、参会者から、1~2枚でいいですので「会社」や「学校」がなんらかの形で箱庭に表現された事例を募集します。子どものケース、成人のケースを問いませんので、ちょっとしたことでも事務局までFAXあるいは文書でお申し出てください。

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(13)
2009年8月2日(日) 10:00~16:00
心理療法における表現
皆藤 章(京都大学)
心理療法のなかで、心理臨床家はクライエントの表現を受け取っていく。この表現をいかに受け取るのか、という視点は心理療法のプロセス に大きな影響を及ぼす。箱庭、描画、夢、造形、さらにはことばなど、心理療法におけるクライエントのあらゆる営みが表現であり、その表現を受け取るなかに「関係」が生まれ、またクライエントの表現それ自体に「関係」が関わっている。今回は、このような視点から、心理療法における表現について考えていきたい。素材は事例にあるので、事例研究を中心に進めたい。積極的な事例提供を希望します。

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(14)
2009年8月3日(月) 10:00~16:00 2009年8月4日(火) 10:00~16:00 2009年8月5日(水) 10:00~16:00 2009年8月6日(木) 10:00~16:00
講座「ロールシャッハ法の基本」
小川俊樹(筑波大学心理学系)
角藤比呂志(東洋英和女学院大学人間科学部)
ロールシャッハ法は、心理アセスメントの一つとして、心理臨床の場で広く採用されている心理検査ですが、そのような道具としてだけでなく、心理臨床家としての臨床的センスを養う役割をも果たしています。本講座は、ロールシャッハ法の理論的背景から、実施法、記号化、解釈法などを具体的な事例や体験学習を通して学ぶとともに、臨床的センスについても考えてみたいと思います。「ロールシャッハ法は難しい」という話もしばしば耳にします。確かに奥深い心理検査ではありますが、基本をしっかり学べばさほど難しい検査ではありません。本講座を通して,ロールシャッハ法が持つ魅力を経験していただければと思います。
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2009年9月6日(日) 13:00~18:00
臨床心理士とソンディ学
大塚義孝(帝塚山学院大学大学院)
「臨床心理士」は,高度専門職業人として,さまざまの専門技法をユーザーの一般市民の方々に提供し,その方々の福祉に寄与することをもって本分とする。ことにソンディ学が示す専門技法は,臨床心理士の専門業務である4つの課題,すなわち・臨床心理査定,・臨床心理面接(心理療法,カウンセリング),・臨床心理学的地域援助,・1~3についての調査・研究・発表について,どうかかわり,どう展開するかについて論述する。これは,臨床心理士になるための受験資格を取得する指定大学院で展開される必修科目「臨床心理学特論」,選択必修科目「投映法特論」「心理療法特論」「コミュニティー・アプローチ特論」と不可分に関連するテーマに,ソンディ学が,どう関与するかを論究しようとするものである。 ソンディ学は,単にソンディ・テストの技法にとどまる学ではない。人間の運命(生きざま)とは,人間の衝動(Trieb)とは,人間の人間化(Humanisierung)とは,に応えようとする人間存在(das Erscheinen)にかかわる臨床学である。 臨床心理士になろうとする大学院生はもとより,若い「臨床心理士」として今,頑張っている人に,なんらかの糧の一助になればと思う。
*ソンディ学に何らかの関連のある事例検討を希望される方はテスト所見も含め、事務局までご連絡ください。

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(16)
2009年9月27日(日) 10:00~17:00
質的研究法としての事例研究
斎藤清二(富山大学保健管理センター)
河合隼雄は「臨床心理学の研究においては、事例研究が極めて有用である。そのことは臨床心理の実際に従事している者にとっては自明に近いことである」と述べている。しかし、近年、「臨床心理学における研究は事例研究に偏り過ぎている」という批判が、臨床以外の心理学の分野、あるいは臨床心理学の内部からも聞こえてくる。臨床心理学を志した時点ですでに事例研究の重要性が自明なものとして受け入れられていた世代の者にとって、その自明性から一度脱同一化し、事例研究の意味を再構築する努力をしない限り、このような批判や疑問に対して説得力を持って反論することは難しいだろう。すなわち、臨床心理学における事例研究の重要性を、ある程度対象化して捉えなおす必要があるということである。本ワークショップでは、1)河合によって、事例研究法の理論がどのように発展・展開してきたか、2)河合によって公表された事例研究についてのメタ研究、3)演者による、質的研究としての事例研究の試みの実例、の3つの視点から、このテーマについて解説したい。
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(17)
2009年10月4日(日) 10:00~16:00
発達障害の理解と、心理療法の実際
安島智子(このはな児童学研究所)
発達障害の心理療法は、近年その需要が高まっている。この状況は喜ばしいことではないが、心理療法を適応することによって、本人の成長をもたらし、家族の有り方が変容してゆけるような過程に同行すると、気持ちも新たに心理療法家として生きる意義を感じる。 子どもの場合、特に早期に心理療法を適応することが本人の人生を考えると望ましく、「言葉の遅れ」を主訴に来談された時に、直ちに遊戯療法と家族面接を適応するならば、大いに可能性に開かれて行く。 幼児の心理相談室への来談主訴は、「言葉の遅れ」が最も多いと言われている。「言葉が出ない」場合も含め、「言葉の遅れ」の問題は、生物学的な問題がなくとも起きる場合も多く、言葉の遅れをもたらしている心的課題や心的世界との取り組みが必要であり、遊戯療法が効果的である。また、近年しばしば、子どものみならず、青年期や成人期の方の心理療法においても、そのアセスメントにおいて発達障害を考えると、本人の全体像を捉え、治療方針を立てる上で役に立つケースに出あう。事例を通して理解するのが、何よりと思うので、検討ケースを募集いたします。子どものケース、成人のケースを問いませんのでちょっとしたことでも事務局までFAXあるいは文書でお申し出てください。

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(18)
2009年10月11日(日) 13:00~18:00
高機能発達障害およびアスペルガーと統合失調型人格障害との重ね着症候群のロールシャッハ法
米倉五郎(愛知淑徳大学)
近年,青年期になりさまざまな精神症状や対人関係での不適応と問題行動を呈して精神科クリニックや大学や企業の心理臨床相談室を訪れ,高機能発達障害および統合失調症や統合失調型人格障などのパーソナリティ障害とを重ねもつと疑われる事例が見られるようになってきた。 このワークショップでは,そうした事例のロールシャッハ法からの知見を紹介するとともに,描画法(風景構成法・人物画・樹木画)やWAIS知能検査法・SCT(文章完成法)などからの知見もあわせて紹介する。こうした心理査定法から得られた心理アセスメントを心理療法に活かしていくコツにもふれる。 なお,当日事例検討をするために,参加者のなかから,ロールシャッハ法(他の心理査定法とも)の事例報告を希望される方を募集します。事務局まで申し出てください。

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(19)
2009年10月18日(日) 13:00~18:00
面接に生かせる見立ての技術
岡 昌之(首都大学東京)
心理療法において,見立てはきわめて重要です。見立てをどのように考え、どのように面接に生かせるかを考えてみましょう。ここでは見立ての要素として、クライエントの心的世界にかかわる8つの項目を考えてみます。 1 communication:コミュニケーションのパターン、言葉の使い方の特徴 2 behavior:行動傾向の注目すべき点、人となり、雰囲気 3 fantasy:ファンタジー世界、象徴と趣味の世界 4 faith:信念、確信、思い込み等々の次元 5 life:背景としての個人史の色合い、強調される思い出など 6 living:現在の生活のありよう、日常感覚 7 pain:不安、症状、心身の苦痛のありよう 8 crisis:危惧される状況、危機感覚への目配り これらの要因に、初期の面接から見当をつけ、その後の面接の各段階において傾聴と応答に生かせると、臨機応変でかつ比較的安全な面接を展開することが出来ます。いわゆる病態水準とも合わせて、面接技術の工夫にも結びつきます。困難と感じられる事例を見直しながら、勉強してみませんか。フロイト(解読)、ユング(瞑想)、ロジャーズ(対話)などの諸理論との関連も考えると、いっそう興味がもてるでしょう。
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(20)
2009年10月25日(日) 13:00~18:00
子どもと精神医学
滝川一廣(大正大学)
現代の児童精神医学のトピックスといえば、「児童虐待」、アスペルガー症候群などの「軽度発達障害」、思春期以降となると「ひきこもり」といった問題で、マスメディアにも大きく取り上げられ、また、臨床上の課題ともなっている。 とりあえず考えねばならないことは二つある。ひとつはなぜ「いま」このような問題がクローズアップされてきたのか。これはいわば社会精神医学上の課題である。もうひとつはこれらには具体的個別的にどう対処すべきか。これは実地臨床上の課題である。 本ワークショップでは、これらの課題を掘り下げてみたい。
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(21)
2009年11月3日(火・祝) 13:00~18:00
スピリチュアリティーとセラピー
長野興子(聖心会)
心理臨床の世界でスピリチュアリティーということが強調され始めて久しい。宗教がなぜ多くの人の心を捉えてきたのか。人の内面を180度変えさせるものは何か。宗教は逃避にもなれば、真の救いにもなる。この時代私たちは魂の洞察を深める必要がある。セラピーは単なる技術ではなく、人が真に自分自身になっていくプロセスを通じて、自己を受容し、生活に命が流れ始めることを援助するものであり、それは宗教的、霊的営みである。 ユングは「精神神経症は究極のところ自らの意味を見出せずにいる魂の苦悩」、クライエントが人生の後半にさしかかっている場合、宗教的な態度あるいは要因なくしては、治癒はありえないと考えている。スピリチュアリティーと宗教は同一ではないが、宗教抜きにスピリチュアリティーを論じるのは不可能である。 講座の中で人の心にある宗教性とは何か、スピリチュアリティーとは何かを共に考えていけたらと願っている。
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(22)
2009年11月8日(日) 10:00~17:00
ユング派の夢分析と言葉
猪股剛(群馬大学教育学部)
夢は昼間の残滓などではないし、身勝手な自由連想でもなく、むしろ日常の体験と変わりのないリアルな強度とテクスチャーで、それは私たちに訪れて来ます。一方で、夢分析では夢を言葉を媒介として、テキストを通じて再体験していきます。ここではユング心理学の夢分析の基本を振り返りながら、夢が言葉というテキストを通じて面接の中で扱われていくことの意味や、夢がテキストを通じてリアルなイメージとして再び体験されることの意味を問い直して生きたい。夢を通じて、イメージに曝されて言葉がひらかれ、言葉が壊れ、母語の外に出ながら、また同時に身体として言葉とイメージが体験されていく夢と夢分析という現実を問い直したい。後半は、事例を検討したいと思うので、事例提供者を募集します。

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(23)
2009年11月8日(日) 10:00~17:00
ユング心理学からみた心的外傷の理論と実践
ー箱庭療法の事例からー
リース・滝・幸子(ロスアンゼルス・ユング研究所)
安島智子(このはな児童学研究所)
箱庭療法の事例をひもとき、心的外傷の理論と実践をユング心理学に基づいて研究していきます。 子供や老人の虐待やネグレクト、いじめや自殺が社会の注目を集め、教育の場のみならず司法、福祉、産業と様々な場で心理臨床家やカウンセラーがその実践に工夫を重ねて居られます。一時的なトラウマと、持続してしかも乳幼児期からうけているトラウマの事例では理論的にもまた実践上でも大きな差が見られます。心的外傷は、それから発して緘黙、心身症などまた鬱や不安症など様々な症状を呈しますが、心的外傷の実践に見られる癒しの中核、その要素とは何か.また、治療者/クライエントの関係に働く特徴的な機序を事例を通して検討していきます。カルシェッド著、豊田園子訳「トラウマの内なる世界」と河合隼雄著「昔話と日本人のこころ」をもとに研究しますので、ご持参ください。

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(24)
2009年11月22日(日) 10:00~17:00
箱庭療法の基礎とユング心理学
事例に学ぶ
樋口和彦(京都文教大学前学長)
基本的に箱庭療法はユング心理学の基礎理論を理解することによって、はじめてその実際と解釈が適正に行われる。今回はユング心理学の内で、箱庭療法を行う人々にとって理解すべき要点を事例に沿って解説する。既に箱庭療法を行っている人々の実際的な治療過 程についての疑問に応えるセミナーとしたい。ケースを提供できる方は事務係まで申し出て頂きたい。なお、本年度には国際箱庭療法学会がわが国(京都)で開催されるので、1985年創立以来の世界における箱庭療法の発展の過程にもふれてみたい。

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2009年11月29日(日) 13:00~18:00
演習とロールプレイ
氏原 寛(帝塚山学院大学)
参加者二人で組になり、それぞれカウンセラー、クライエント役をしていただく。15分間の模擬カウンセリングを行う。テープにとり、逐語記録を作る。そのコピーを参加者全員に配る。1ケース1時間をあてれば6組12人の方の模擬カウンセリングを全員で聞くことができる。それに基づいてお互いの意見、疑問などを出しあってディスカッションをする、という段取りである。ロールであるから、クライエント役の方は、できるだけ自分とはかけ離れた人を演ずること。身近な役をとるとついホンネが出てしまうことがあり、心ならずもプライヴァシィをさらけ出して後悔することがある。ロールなのだがやってるうちに夢中になることがあるから要注意。それだけディスカッションに際しては当のカウンセラー、クライエントがそこで何を感じていたかを確かめることができるので、自分自身の実践とひき比べてかなり参考になるところが多い。15分のテープを起こすのに1~2時間はかかるので、資料の準備には十分な時間を見込んでおくこと。
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(26)
2009年12月6日(日) 10:00~17:00
事例研究のためのイメージ解釈
― 日本的精神性からのアプローチ ―
秋田 巌(京都文教大学)
日本人の事例を理解するためには当然のことながら日本人の心性について理解を深めなければならない。その意識性のもと、秋田は「両雄並び立つ思想」「褶振・狂舞」「破形の英雄」「狂美・傷美」「症状の個性化」など様々な視点を提出してきたが、それらを更に発展・展開させて事例理解、そして人間理解の一助としたい。 古典芸能(能・狂言・歌舞伎・文楽・落語・和太鼓等)を中心としつつ、昔話・神話・マンガ・映画などを絡ませて、そのイメージ解釈などもしながら論を展開していく。 事例を募集します。夢一つ、箱庭一つ、長い事例の1回分とかでも結構です。

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2009年12月13日(日) 10:00~17:00
現実に介入しつつ、心に関わる
-多面的心理援助アプローチの理論と実際-
田嶌誠一(九州大学大学院人間環境学研究員)
「現場は学問のはるか先を行っている」というのが、私の実感です。現場に鍛えられているうちに私の臨床もいろいろ変化してきました。さまざまな臨床現場で、現場のニーズを「汲み取る、引き出す、応える」ということを心がけているうちに、結果としていつのまにか、内面を扱うだけでなく、ネットワークを活用するなどして、現実の生活に働きかけることも多くなってきました。そうした私の臨床の工夫や変遷について、お話出来たらと思っています。具体的には、不登校やいじめ、暴力などについての臨床経験を交えて、①内面探求的アプローチ、②ネットワーク活用型アプローチ、③システム形成型アプローチ、といったことについてお話する予定です。現場の臨床では、このいずれのアプローチも必要であると、私は考えています。 現場のニーズを「汲み取る、引き出す、応える」ためには、心理臨床家が従来のようにもっぱら心の内面や深層に関わるという姿勢(それも必要ですが)のみでは不十分で、「現実に介入しつつ心に関わる」という姿勢とそれに基づく多面的アプローチが重要になります。これは、心理臨床が生き残れるかどうか、換言すれば心理臨床が社会に真に貢献できるかどうかに関わる重要なことだと私は考えています。
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2010年1月17日(日) 13:00~18:00
超軽量粘土面接法の理論と実践
亀口憲治(東京大学教授)
私が20年以上の年月をかけて改良を続けてきた「超軽量粘土面接法」では、さまざまな思いを胸に秘めた夫婦や親子(個人でも可)が、通常の8分の1の軽さの超軽量粘土を互いに分け合うことから、新たな家族関係の体験を始めます。悩みをかかえた家族が柔らかな粘土に触れることで、一瞬であれ、心身の緊張を解きほぐせることを大切に考えています。加えて、家族が互いの面前で粘土造形を通じた「自己表現」をすること自体の「非日常性」も、家族の認知の変化に有効に作用するようです。 この技法を用いる家族心理面接は、親・兄弟を含む家族集団を対象とする「家族遊戯療法」の特徴を備えています。なぜなら、問題をかかえた子どもだけでなく、その問題で悩みつづけてきた親(祖父母)や他のきょうだいのストレスや心の傷を癒すために、遊戯療法が蓄積してきた「臨床の知」を巧みに応用しているからです。
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2010年1月24日(日) 10:00~17:00
対人恐怖症再考
田中康裕(京都大学大学院教育学研究科)
対人恐怖症は、わが国に特有の神経症として1960年代から70年代にかけて盛んに論じられた。そのなかで、より重篤な境界例や精神病水準の病態が想定される自己臭恐怖を含めた「自我漏洩症候群」や「思春期妄想症」等の概念化もなされたが、今日では、取り立てて論じられる機会はなくなってきているし、実際、臨床の場でそのようなクライエントに遭遇する機会もめっきり少なくなってきている。このワークショップでは、一世代前の日本人の意識の在り方を代表するものとしての対人恐怖症を再考することを通して、今日的な解離性障害の意識の在り方との違いや、同じように対人関係の問題を抱える発達障害との境界を見定め、そのことによって現代の意識の本質を把持することを試みたい。 なお、後半は事例検討を予定しているので、参加者の中から2名の事例提供者を募る。対人恐怖症に限らず、事例提供を希望される方は是非事務局まで申し出ていただきたい。

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2010年1月31日(日) 13:00~18:00
援助関係の形成と展開
-治癒機転を生み出す要因、連携を活かす要因-
村瀬嘉代子(北翔大学・大正大学)
心理臨床で扱う問題は、生物・心理・社会的要因が輻輳しておりますが、近年、臨床の場で出会う問題は一段と難しくなってきました。伝統的な心理療法を基本としながらも、臨床の場の特質に応じて、援助者にはよき柔軟性と統合的アプローチが求められるようになっています。クライエントと信頼関係を形成し、展開を生じるその局面にかかわる要因と、チームワーク、連携の展開の仕方についてご一緒に考えたい、と思います。
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2010年2月14日(日) 13:00~18:00
ウィニコットの臨床の知
賀陽 濟(西東京心理療法研究所)
長谷川雄一(目白大学心理カウンセリングセンター)
ウィニコットは精神分析に留まらず、心理療法、ケースワーク、教育等々、多くの領域に影響を与えてきました。混沌とした現代において、その価値がいっそう評価されていると言ってもよいでしょう。 ウィニコットの用語、たとえばholding,playing,transitional objectなどについて、これまで多くの議論がなされてきました。そうした、先行研究について、まず分かり易く お話ししたいと思います。 次に、ウィニコットの症例の中に隠されている、いまだ十分に語られてこなかったウィニコットの治療観、技法論について、具体的にお話ししたいと思います。最後に、私たちの症例を提示して、「ウィニコット」がいっそう浮き彫りになるよう工夫しようと考えています。参加された皆さんの日々の臨床の中で、あるいは日々の生活の中で、ウィニコットの治療観、技法、臨床の知恵を、ほどよく活用できるように配慮したいと思っています。
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2010年2月21日(日) 13:00~18:00
コラージュ療法入門
-いろいろな誤解に答える-
森谷寛之(京都文教大学)
コラージュ療法は,台紙に雑誌やパンフレットなどの切り抜きを貼り付けるだけという非常に単純明解な方法であり,誰にも実践可能な方法ということができる。それは手続き上のことである。実際は,もっと繊細微妙な方法である。 コラージュ療法は,セラピストが手抜きをする方法として,誤解されてきたのかも知れない。これは私の真意とは逆なのである。自分の心の内界で生じていることをうまく表現できないクライエントが非常に多い。幼い子ども,絵も苦手な人,エネルギーが乏しい人,箱庭療法などの設備もない状況に対して,セラピストの方が工夫することによって,クライエントの心の中で生じているはずの内容に形を与えるようにと援助することが目標であった。セラピストが手抜きするのではなく,セラピストの方が,(社会が生み出したイメージなどの力をもお借りしながら),エネルギーを提供するための方法であった。 これまでの様々な誤解を問題にしながら,制作実習と基礎的な解説をしたい。そのために,切り抜いてもよい雑誌やパンフレットなどを何冊か持参してほしい。コラージュ療法の活力は,この雑誌やパンフレットの内容に依存していることに注意してほしい。それ故に,この雑誌選びの段階からすでに研修が始まっていることを忘れないでいただきたい。 事例をお持ちの方は申し出て下さい。

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2010年2月28日(日) 10:00~16:00
箱庭療法の入門と実践
岡田康伸(京都大学)
今回は箱庭療法の基礎に関して講義しかつ実習する。講義は箱庭が遊びであり、自己表現であり、3つの用具(砂、箱、玩具)が大切であることを話す。箱庭の歴史や 、河合隼雄先生の考えも加味したい。実習は①気になる玩具選びと②箱庭の玩具による自己像と③グループ箱庭をする。 ①は各人が気になる玩具を選び、それをグループ(6~7人)に説明し話し合う。 ②は過去、現在、未来の自分に適した玩具を選び、それを4つ切の画用紙の上に位置づける。各々の理由をグループで話し合う。 ③グループ箱庭は本来箱庭は1対1の個人で体験するものであるが、グループダイナミックスを加味することで製作の力動やその内の心の動きを敏感に感じ取る訓練とする。
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